【一日一作プロジェクト】Tシャツアート「闇紅咲(やみべにざき)」を作った。モロッコ人家族が経営する近所の八百屋へ。目的はただ1つ。オウムへの捧げ物、スイカを入手するため。
「モロッコ産の、あの瓜型のやつをください」
スイカには2種類あり、丸いボール型(スペイン産)と、長い瓜型(モロッコ産)がある。以前このお店で勧められ食べたらあんまり甘くて、それ以来
「モロッコ産の瓜型スイカを抱えて家まで帰る」
のが、夏のダンベル風物詩となっている。お店のお姉さんは「スイカ丸々1個」を売りたがったが
「これをいったい、どうやって1人で家まで自力で運ぶのだ!」
と大騒ぎして、半分にカットしてもらった。半分でこの大きさ(写真)。だいたいスイカを持ち上げるのに、店の若い衆を呼びつけ「よいせっ」と肩に乗せて店内を移動させたのだ。
「甘いよ〜。これで家族みんな幸せねー」
お姉さんの想像する図に、オウムは入っていまい。小ぶりのナイフで、お姉さんはスイカに立ち向かう。が、なんせナイフが小さすぎ。ってか、スイカが大き過ぎ。
「ガッ、ガガッ・・・ぐぐっ」
無理やりスイカの腹にナイフを食い込ませ、小刻みに動かす。
「ぐぐっ・・・ガッ・・・ガバッ」
よろよろ感いっぱいで、スイカが2つに割れた。それはいいが、ナイフを小刻みに動かしたので断面はギザギザ。日本ならありえない亀裂感。でも、ここはスペイン。それもマラガ。の庶民的地区エル・パロ。
「ありゃー、うまく切れなかった〜」
で、終わり(笑)。そのままギザギザの断面にラップをかけられ「はいっ」と手渡される。お姉さんは、もう一方の残りのスイカのギザギザ断面を、うれしそうにナイフでそぎ取り
「はい」
と、私に手渡した。残りをお姉さんも、ぽいっと口に放り込む。すると、それを見ていたお店のお兄さんも近づいてきて、モロッコ語(アラビア語)で
「僕もほしい」
的なニュアンスのことを言う。結局、私たち3人は「ギザギザ処理」のため、店先で
「スイカを喰らう」
ことで、結ばれていた。スイカは割った時の「紅色、緑、黒」という、鮮やかな配色がいい。食欲はもちろん、一日一作のひらめきをも届けてくれる。
「闇紅咲(やみべにざき)」
緑の中に、ぽっかりと口を開ける闇。その中で踊る紅花。一見平穏な生活、心の中にも闇がある。悲しみや不安、痛みが。そんな中でも
「闇をも住みかとして、咲く花がある」
私たちの心に宿る神秘の力。今日マラガは33度まで上がった。あの「熱風テラル」が吹き荒れ、あわてて家中の窓を閉めた。そのおかげで室温26度をキープ。数時間で過ぎ去ってくれたけれど
「なんと夜9時で、湿度は18%」
干からび〜。そんな中、食べるスイカは最高だった(合掌)。ちなみにこの大きさで4ユーロ(約600円)。安っ。日本はいくらするのかしら。