日本上陸記&己庭

【一日一作プロジェクト】メッセージアート「己庭(おのれにわ)」を作った。「日本上陸記・10」。いよいよPCR検査の結果発表。自分の番号が呼ばれれば陰性。今夜の宿・強制収容所へ一歩大きく近づく。

「おぉお、呼ばれた〜!陰性だー」

サクラ咲く。足取りも軽く、窓口へとかけ寄る。パイプ椅子に座って待つ間、お姉さんにそっと話しかけてみる。

「これから収容所ですよね。行き先はどこか、わかりませんかね?」「その時にならないとわからないですが、遠いとバスで1時間かかることも」

「ええっ!これから1時間」「確認してみましょうか」

優しいお姉さんは奥に引っ込み、にこにこ笑いながら戻って来た。

「よかったですね。1番近いホテルです」「おお〜ありがとうございます。30分くらい?」「いえ、空港の横なのでバスで5分です」「5分!!!」

こんなこともあるのか(驚)。5分と1時間。この差は何なのか。なぜ、みんな空港周辺のホテルにしないのか。ありがたいことに、バスに乗って5分でホテルに着いた。のはいいが

「そこからがまた長い」

フロントに用意されたデスクに1人ずつ赴き、毎朝の検温や健康報告の仕方、アプリの使い方などの指導を受ける。

「○○したら△△を押して××に」「○○を△△してから××」

正直、この疲労困憊の状態で説明されても、ほとんど頭に入らない。それより

「早くマスクを取りたい」「靴を脱ぎたい」「体を横にしたい」「休みたい!!!」

ようやく鍵が手渡され、よろよろとエレベーターへ。ガチャッと自分の部屋のドアを開けた瞬間

「あぁあぁぁあ〜〜〜っ」

体から靴やバッグをはぎ取り、手と顔を洗い、ベッドに倒れ込む。長かった。ここまで。マラガの家を出てから

「初めてマスクを取ったのが今」

もう酸欠や〜。シャワーを浴び、夕食の弁当を食べ始める。これだけ疲れていても、不思議と食欲はあるのだ。落ち着いて考えてみると

「羽田空港に着いてから、自分の部屋にたどり着くまでに4時間」

これは、かなり早い方と言える。平均7時間だとして、あの状態で「3時間プラス」されたら?と思うと恐ろしくなる。

「回復が不可能なほどの疲労困憊」

に追い込む審査や手続きってどうなのか。4時間と7時間の差は大きい。私は夜10時半に部屋にたどり着けたけれど、夜中の1時半過ぎだったら。疲労やストレスで病気になることだって十分あり得る。

「己庭(おのれにわ)」

せめて心の中に、緑と風、光と水を持とう。私たちは心に「庭」を持っている。安らぎと温もりに包まれた、誰にも支配されない場所を。

完全隔離・強制収容所ライフは、明日に続く(写真のお弁当は3食分)。

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