千感受眼

【一日一作プロジェクト】コラージュアート「千感受眼(せんかんじゅがん)」を作った。車がないので、よくバスに乗る。バスというのは、実におもしろい空間で

「ふだん出会うことのない人達がいっしょくた」

になり、思いがけず人生が重なり合う。マラガっ子たちはおしゃべりで、更に電話もよくしているので、バスに乗ると必ず「ええっ」と思うことに出会う。

「もう一度、考え直してほしい。お願い」「どうして!」「会える?」

泣きそうな声で、隣の席の女性が懇願する。電話の向こうにいるのは彼氏なのか?おぉお〜。なんとかならんのか(汗)。

「足をケガしてるので、誰か席を譲ってください」

金髪のかわいい女の子が、片足を引きずりながら声を上げる。いやぁ、男性陣の動きの早いこと(笑)。5席くらいパッと空いて、そこにささっと座ったのは、おばさまだった。

「タ〜タター、タタタン、タタタタ!オーレ!」

運転席のラジオから流れてくる音楽が、思いっきりハードなフラメンコ。ここはタブラオ(フラメンコの店)?と思ったその時、すかさず誰かがかけ声を入れた。「オーレ!」。さすがや〜。

「あの・・・犬も一緒に乗せていいですか?」

8歳くらいの女の子が、白い子犬を両腕に抱えて運転手さんに尋ねる。「犬は禁止なんだよ、ごめんね」。運転手さんは、本当は乗せてあげたそうな口調で言った。その表情が見えるような。

そんなこんなで、セントロまで40分。バスはエピソード満載。まるで「短編小説」さながら。庶民的で人間的な、エル・パロ発11番のバス物語。

「千感受眼(せんかんじゅがん)」

感受性を大切にしよう。評価やお金には、直接つながらないかもしれないけれど。人間らしい思いやり。包容力。痛みや歓びを感じ取り、共感する力。

豊かな感受性を持ちつつ、たくましい精神を持ち続けたい。祈りを形に。

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