【一日一作プロジェクト】ペイントして「伝えたい思い」を作った。先日、父から驚くようなメッセージが届いた。私が日本帰国した時の話を
「作文に書きたいから、原稿用紙を買いに行った」
なんと(驚)。「原稿用紙を買うなんて何十年ぶりだよー」と父も、自分の中に湧き起こった衝動に驚いているようす。
「気がついたら朝から昼過ぎまで書いてて。お昼ご飯の時間になってたよ〜」
笑。親子同じやん。下書きの原稿用紙にはいくつも直しが入っていて、なんだか胸が熱くなった。それにしても。こんなに一生懸命「作文」を書いて
「どうするの?」「中日新聞の『暮らしの作文』に応募するんだよ!」
ええーーーっ。これには驚いた。ものすごい決意と行動力。実はこのコーナー、過去に父・母・私の3人で応募したことがある。と言うのも
「ばあちゃん、新聞に載りたい!」
と、とくばあちゃんが言い出し、それぞれ原稿用紙に向かうことになったのだ。3人で応募したら、1人くらいは採用してもらえるかも(←甘い)。結果は全滅。掲載を楽しみにしていた祖母は
「全くあてにならん。ばあちゃんは100歳まで生きて、自力で新聞に載る!」
と、鼻の穴を広げて言った(←どうも100歳を超えると、地元の新聞に掲載されるらしい)。それを実現させてしまった祖母もすごいが、3人揃って不採用の私たちはがっくり。
「懐かしいね。あの『暮らしの作文』コーナーかぁ」「ももがあんな大変な思いをして、必死で日本帰国してくれたことを書かないと!」
不思議だな。行動は、次の行動を生む。思ってもみないことが、鎖のように連なって起こる。それが人生。
「これから清書して、明日には応募してくるよ」
弾んだ声で、父が言った。もしかしたら。ダメかもしれない。採用されるのは、簡単じゃない。でも。
「自分の足で原稿用紙を買いに行き、食事を忘れるほど熱中して作文を書いた」
そのことに、私はしばらく感動していた。「父の心と体を少しでも動かしたい」その思いだけで、厳しいコロナ規制の中、日本へ帰り、滞在中の全ての時間を父と過ごした。
「採用される時には、向こうから連絡があるんだって」
父の楽しげな口調を聞きながら「暮らしの作文」コーナーは、こういうことのためにあるんだな、と思った。
「伝えたい思いを、声にするために」
心が動くから、言葉が紡ぎ出される。そのことを、父は身をもって教えてくれた。実はまだ、どんな作文なのか読んでいない(笑)。写真に撮ったら送ってね〜。
「伝えたい思い」
月が、窓辺に会いに来る。「会いたいから」そばにいたいから。ただそれだけの思いで。「思い」が全て。思いこそ、行動の源。
月が逢瀬を重ねるその相手。窓の向こうに待っているのは、なんだろう。