ピレネー山岳の旅&S

【一日一作プロジェクト】アルファベットシリーズ「S(えせ)」を作った。いよいよベナスケ村へ到着。街並みを横目で見ながら、まずは

「ハビ吉おすすめの絶景ポイント」

へ急ぐ。すでに午後5時半。日の当たらない谷底はもう薄暗い。なんとか日のあるうちに!急ぎたくても、センターラインもガードレールもない山道。さらに雪まじり。で、スピードが出せない。

「あと少し!」「ハビ吉、がんばれ〜」「あのカーブを越えると、もう道がなくなるんだ」

その場所が、こちら!(写真)。おお〜。青い空に雪景色。3000m級の山々に囲まれ、まさに絶景スポット。よろよろと車を降り、しばし立ち尽くす。

「ケ・マラビジョソ!(なんてすばらしい)」「インクレイブレ(信じられない)」

本当にこんな所まで。ピレネー山脈の最高峰「アネト山」のふもとまでやって来たんだ〜。じわじわと感動がこみ上げる。

「写真撮ろう!動画も〜」

我にかえり、はしゃぎ出す私たち。どれがアネト山なのかわからないけど、もういいや。こんな場所にいられるなら。ひたすら感動にもまれよう。

「雪だーーーーっ!冷たい〜」

雪に触るなんて、握るなんて、どれくらいぶりだろう。それも、こんな青空の下。乾燥しキリリと引き締まった空気。なんという爽快感。

「スペイン(イベリア半島)で2番目に高い山はアネト山だよね。じゃ1位は?」「ムラセン」

その名前を聞いて、はっとする。グラナダのシエラ・ネバダにある万年雪を抱く聖山。3479mのムラセン山頂。そこに、私は行ったことがある。

「はるか20年以上前。ハビ吉の運転する車で」

笑。あの時も確か「道がなくなるギリギリまで」「雪まじりの山道」をよろよろと進んで行った。そして、最後の最後で

「道が雪に完全に覆われて進めなくなり」

泣く泣く村へと引き返したのだ。残念そうなハビ吉の横顔は、まだ子供っぽかった。お互いに20代で。

「スペインで1番高い山と、2番目に高い山を、一緒に見た」

20年の月日を隔てて。不思議だな。そんなことが起こるくらい、私たちは時間を重ねてきた。若かりし頃の暴走や失敗、数々のケンカを思い出にかえて。

「見て!あそこに林道がある」「人がいるよ。行ってみよう」

日が暮れるまであと20分。はたして。どこまで行けるのか。(明日に続く)

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です