【一日一作プロジェクト】アルファベットシリーズ「T(てー)」を作った。アスファルトの林道を入ると、さらに奥深い谷へ誘い込まれた。
「雪が増えてる〜」
すっかり雪国。さすがに谷底は薄暗い。日の入りまであと20分。「行ける所まで行こう!」ハビ吉のやる気は無尽蔵。なんとこの突拍子者の私が
「いや、そろそろやめた方が」
ストップをかける方(笑)って、大丈夫なんか、このチーム(←水瓶座あるある。2人そろって無条件&無制限一本勝負)。とはいえ、暗くなる前にこの谷から出ないと危ないよなぁ。
「もも、ここから動画撮って」
ハビ吉の指示が飛ぶ。フロントガラスにへばりつきながら撮影。その時、ラジオから流れてきたのは
「オー・ソ〜レ・ミーオ〜」
あのイタリアの名曲「私の太陽」。雪の中で(笑)。これが意外と合うのだ、壮大な感じが。車を進めて行くと、なんと前方に
「犬を散歩させる人」「1人でリュックを背負って歩く人」「山歩きグループ」「女の子2人組」
いやぁ、こんな辺境の地で。これだけの人に会うとは。さすが、ピレネー最高峰アネト山のふもと。「聖なる谷」に別れを告げ、ベナスケ村へ。村歩きをするには遅いので
「温かいお茶が飲みたい〜」「カフェテリアを探そう」
1軒、2軒、3軒・・・8軒、10軒。うそ。みんな閉まっている(涙)。紅茶一杯飲めないのか〜。半泣きになりながら、村の中をうろついていると
「見て!あそこに灯が」
もうそういうレベル。結局、ホテルの中にあるカフェテリアを利用させていただくことに。あぁあ、暖房ぽかほぽか〜。見れば、カウンターにはタパスまで。しばしエネルギー補給。
「ここからまだホテルまで2時間半かかるよ」「あの山岳ルートを通って、だよね?」
センターラインもガードレールもない、アップダウン&ヘアピンカーブ連続の、あのスリルとサスペンスの迂回ルート。それも今度は、真っ暗。
「車のヘッドライトをあてに」
ひたすら山を越える。ハビ吉、おつかれさま。なんとか無事ホテルへ到着。パラドール最後の夜なので
「レストランで何かつまもう」「ワインで乾杯しよう」
ボトルを頼んで、のんびりグラスを傾ける。静かな山の夜。おいしい料理をゆったりと味わい、暖炉の前で、ソファにもたれておしゃべり。
「この静けさを、懐かしく思うかしら」
明日はウエスカ県から一路、マドリッドをめざす。秘境から、スペインの首都へ。渋滞と喧騒の都会へ。はたして。(明日に続く)