【一日一作プロジェクト】アルファベットシリーズ「O」を作った。アニスクロ渓谷を無事脱出。「温かいお茶」を求めて、最寄りの村へと走る。
「バルないねぇ」「ってか、すでに店ってものがない」
山頂の小さな集落。ぐるりと周りを山に囲まれた天空の村。石造りの家が、互いを守るように重なり合う。かなりの標高。1週間もすれば、ここも雪景色に包まれるのかな。
「全然人がいないね」「でもほら、あそこに牛が!」
私たちが遭遇するのは、いつも動物なのだ。初日、夜道で出会った「馬」。渓谷の小道に現れた「羊」。そして「牛」。どこで写真を撮っても「人」が写り込むことはない。
「とりあえず次の村まで行ってみよう」
そうして道すがら、バルやカフェテリアを探してみるのだが、ことごとく全滅。これはかなり大きめの村でないと「店はない」ということが、だんだんわかってきた。マラガの田舎とは大違い。
「もうお茶はいいから、ランチの場所を探そう!」
もうお茶どころではない。最悪の場合、ランチも危ういのだ。何としてもレストランを探し出さねば!お腹はもうすでにぺこぺこ。
「次のトルラ村にあるはずだよ」「ポル・ファボール(お願いします)」
手を合わせ、山の神様に祈る。川を渡ると、そそり立つ山々の麓にたたずむトルラ村が見えてきた。険しい山々に背中を守られ、静寂の中に置き去りにされた村。さっそく車を停め、村の中を駆けずり回る。
「閉まってるよ、ホテルもレストランも」「店も一軒も開いてないね」
村中がしーーーんとして、物音ひとつしない。もちろん観光客など一人もいない。その時、1人のセニョーラが、玄関から顔を出した。あわてて駆け寄る私たち。
「こんにちは。この村にレストランかバルはありませんか?」「何か食事ができるような場所は?」
セニョーラの答えを待つ間、ハビ吉が私の耳元でささやく。「ないって言われたら、昼ごはんの残りがないか聞いてみる?」。冗談じゃなく、食べ物の調達のしようがないのだ。店さえ開いていないのだから。
「一軒だけありますよ。この通りの突き当たりに」
おぉお〜。セニョーラにお礼を告げると、喜び勇んで飛んで行った。見れば店内に灯りが。ホッとしてレストランのドアを開けると、ボーイさんがひとこと。
「予約がいっぱいで・・・すみません」
うそ。そんな。呆然と立ち尽くす私たち。ふだんなら「あ、そう」と別の店へ行けばいいのだが、今日はまるで状況が違う。ここで食べられないと
「また数キロ先の村まで移動」「その村にレストランがあるかどうかわからない」
なんとしても、ここで食べさせてもらわなければ!ハビ吉が頭を働かせ「ボーイじゃなくて、オーナーに直接聞いてみよう」と作戦を変えてみる。店の外に出て、オーナーに直接電話で確認すると・・・
「お待たせするかもしれませんが、どうぞ」
やったーーーー!どれだけでも待つわ〜(涙)。赤ワインをちびちびやりながら、ゆったりランチを楽しむ。「パエジャ」「豆とチョリソーの煮込み」「羊肉の炭火焼」「頬肉の煮込み」。どれも絶品。
「まだ、こうして食べているのが信じられない」「このランチか、車の中にあるスポンジケーキ&水」
差がありすぎやろ〜。デザートは「りんごパイ&アイス」「栗のプリン&アイス」。全て半分こ。めちゃ贅沢気分。お腹も心もぽかぽか。エネルギーチャージ完了。
「さあ行こう。これからまだ3時間はかかるよ」
すでに午後4時。6時半には暗くなるので、のんびりしてはいられない。トルラ村近郊の山道を登り「見晴らし台」へ。さらに「ボルターニャ村」へ!日が落ちる前に、はたして回り来れるのか。(明日に続く)