【一日一作プロジェクト】アルファベットシリーズ「R(えれ)」を作った。標高1946mの「ヒスタイン村」から、谷に向かってカーブの下り坂が続く。
「ああっ、止めて〜。絶景スポットーーー!」
ハビ吉に無理やり車を止めさせ、ドアを開けて飛び出す。谷底をそっとのぞき込むと、そこには
「里の風景が!」
緑の大地の中に、ぽつんとただずむ集落。紅葉に包まれ、背後には2000m級の山々が(写真)。その光景に、しばし心を奪われ立ち尽くす。
「これを見るために・・・ここまで来た」
そういう風景がある。美しさを超えた、心の琴線に触れる「大切な何か」「かけがえのない何か」を持つ風景。ホテルのお姉さんの言葉どおり、全く観光化されていない、ガイド本にも載っていない
「知る人ぞ知る秘境、チスタウの谷」
険しい山々に阻まれて、なかなかたどり着く人もいない。忘れ去られた辺境の地。だからこそ、宿っているものがある。
「ハビ吉、ここまで連れて来てくれてありがとう」
無理やり車を止めさせてごめん。あやうくケンカになるところだった(笑)。でも、景色が呼んでいたんだよ〜。山の神様が。どうしても、通り過ぎることはできなかった。
「あそこ、開いてない⁉︎」「行ってみよう」
なんと営業中のカフェテリアを発見。きゃ〜。やっと温かいお茶が飲める(笑)。テラス席で太陽の日差しをさんさんと浴びながら、本日のスケジュールを調整。
「これから、ももの行きたいアインサ村まで1時間ちょっと。その後、ベナスケ村まで2時間」
かなりハードな行程。移動するのはいいが、その後宿泊先のパラドールまで同じ道を通って帰らなくてはならない。ハビ吉は土地勘があるので、とても頼りになる。小さい頃
「家族4人で、1ヶ月バケーションに来たよ」
これぞスペインの夏の過ごし方。安いアパートメントに滞在し、渓谷や山歩き、ドライブを存分に楽しむ。夏ならお店もレストランも全て開いているので、旅はもっと快適なはず。
「アインサ村で過ごせるのは1時間だよ」「はーい」
山を越え、川を渡り「アインサ村」へ到着。2本の川に挟まれた、丘の上にそびえ立つ自然要塞の村。はあはあ言いながら、急坂をひたすら登る。
「人がいるよ〜。観光客も」
なんか感動(笑)。村の入口である「アーチ」をくぐり、石造りの家並みの中へ吸い込まれていく。おぉお、別世界じゃ〜。
「見て。レストランやカフェテリアが開いてる」
それだけで、ふつふつと歓びが(笑)。まずは、村の中心である「広場」をめざす。石畳の通り、鉢植えの花、バルコニー、ひなたぼっこをする猫・・・穏やかな時間が流れるアインサ村。
「見晴らし台があるよ」「行ってみよう」
眼下には川が流れ、その向こうには山々が。ウエスカ県は、本当にどこを見ても
「視界の中に、山がある」
毎日、山を目にして暮らす。って、どんな感じだろう。私はいつも「海のある町」で暮らしてきた。愛知県の蒲郡市、名古屋市、豊橋市、そして南スペインのマラガ。
「私の心の中には、海がある」
未知に向かって、開かれた場所が。先がわからなくても「乗り出したい」衝動が。たぶん、海賊だったのだ(笑)山賊ではなく。ふと、横を見ると
「ハビ吉がひなたぼっこ」
していた(笑)。気持ちよさそうやな〜。運転、お疲れさま。今回の旅は「太陽」に守られている。なんとかあと1日、青空が続きますように!(明日に続く)