【一日一作プロジェクト】「孤独のゆりかご」を作った。はるか30年以上前、学生の私を「アルバイト」として雇ってくださった伊藤さんご夫妻との食事会。当時は
「ほとんど役に立っていなかった」
と思うが、まるで状況がわかっていない(全くの非戦力)だったがために、逆に少数精鋭のキリキリとしたオフィスの中で
「観葉植物」
のように置いてもらっていた。あるいは「仔犬」のように、そこに転がっておればよい、的な。伊藤さんがぽつり。
「会社を辞めても、うれしそうに連絡して来るのは君だけだよ」
褒められてるのか?(笑)。あれから30年。ベラともどもお世話になり、松山、伊賀の里、犬山、豊川稲荷・・・いろいろな所へ、4人で出かけた。
「山へ行きたいけど、もう行けないな」
渓流釣り、山歩きの好きな伊藤さんが、痛む足をさすりながら呟く。65歳を過ぎると一気に体力が落ちるから
「動けるうちに、どこでも行って!好きなことをやってよ〜」
どこまでも背中を押してくれる伊藤さん(笑)。その横で、ひょうひょう淡々とマイペースでビールを味わう中岡さん(伊藤さんの奥様)。
「なんてタイプの違うおふたり」
かけ合いのようなやりとりに、いつも笑わされてしまう。2人でいられるなんて、一緒に年を重ねられるなんて、いいなぁ。
「私も、ベラともっと一緒にいたかった」
ワインが、私の口を軽くする。ベラのことをよく知る2人の前だから、するりと本音が出る。
「でも、そうはならなかった。今の私は、アートがパートナー」
人生は、私から「愛する者」を奪った。そして、その同じ手で、私に「無限の可能性」を与えた。
「アートという羽を」
贈り物には、順番があるのだ。ひとつずつしか、届けられない。「1人の私だからこそ」それは、与えられた。そういう不思議な「運命の手」を感じ取れると
「悲しみは形を変え」「意味をもたらし」「自分の役割を知る」
ことへ、昇華する。人生って、おもしろいな。私は、今の50代の自分が好き。体力がなくなり、やっと落ち着いてきて(きたのか?)体と心と頭のバランスが、ほぼベストになった。
伊藤さんと中岡さんは、20代の頃からずっと役立たずの私を可愛がってくださった。そして、同時に「社会人としての責任」や「制作の厳しさ」を、学生の私に、叩き込んでくれた。
「仔犬でいられる幸せ」
も、お二人がいてくれるからこそ。どうぞ、お身体を大切にして、いつまでもお元気でいてください。来年はぜひ豊橋へ
「しじみとり&魚釣りに来てくださいね」「おお〜いいね!ももガーデンでバーベキューしよう」「巨石文化の横で」
楽しいプランで人生を彩ろう〜。さて。家へ帰ると、先日発注した「絵の具とロールキャンバス」が届いていた。うれしい〜。今すぐ描きたくなってくる〜。
「化粧品やアクセサリー、洋服は買わなくていいの?」
カーマホームセンターばかりに通い続ける私に、父がぽつり。明日も朝から「カーマ」「ニトリ(家具コーナー)」「100均」「事務手続き」そして
「豊橋名物カレーうどんを食べに!」
はたして。どこまでいけるか〜。日本滞在もあと1週間。飛び回るぜ〜。
★作品紹介「孤独のゆりかご」。孤独は、ゆりかごでもある。私たちを包み、守り、母の胎内のように揺らしてくれる場所。私の行きつけ(笑)。