【一日一作プロジェクト】「夜香(よが)」を作った。ビルヘン・デル・カルメン祭。昨日の続き。海岸通りのレストランへ駆け込み、まずは乾杯。
「カルメン、フェリス・サント!(サントの日おめでとう)」
スペインでは、年に2回お祝いがある。誕生日とサントの日(自分の名前と同じ聖人の日を祝う)。こうして一緒にお祝いできることに感謝。
「おしゃれなレストランもたまにはいいよね〜」
目の前は海。すてきなテラス席。本日は焼きイワシはちょっと置いといて、さつま芋フライ&アボカド、ポテトサラダ、イベリコ豚・・・
「おいしーーーっ」「たまには肉もいいね」「今年の夏はどうするの?」「ずっとマラガ」「私も」
コンサートやオペラ、映画や展示会の話で盛り上がる(←9割はカルメンの文化活動)。旅行、家族、健康・・・友人知人の近況報告で、思いがけない訃報も。
「今日、今、生かされていることに感謝」
歩ける、食べられる、笑い合えるって、すごいことだ。そして。生きて家に帰れるって。家を出たまま2度と帰れないことだって、ある。
「ガタガタッ、ガタン」
いきなり、目の前のガラス戸が閉められる。ものすごい勢いで。えっ?なんなん?全部閉めたら、海の眺めがガラス越しに。ってか、風が遮られて暑いやん。
「あの〜、どうして閉めるんですか?」「プロセシオンがこっちに来るんです!」
パレードが?この海岸通りに?聞けば、道幅が狭いため、ガラス戸を全てぴたりと閉めないと「カルメン像が通り抜けられない」とのこと。はぁあっ?
「じゃ、デザートでも頼もう」「今、注文は受けられません」「はっ?」「ビカルメン像が来るんです」
えっ?はっ?パレードと注文、どんな関係が???意味がわかぬまま、店員さんたちの姿を目で追う。
「まさか、みんな店の外に出て行くけど」「パレードを見るために営業一時中止?」「信じられない」
うろうろとビールを求めて、カウンターに吸い寄せられるおじさまも(笑)。客は全てテーブルに置き去り。
「カルメン、私たちも外に出てパレード見ようよ。どうせ注文できないんだし」
そのパレードがこちら!すごい〜。こんな近くで。本当にギリギリや。伝わってくるエネルギーがハンパない。全く予期していなかっただけに、歓びも大きい〜(動画はFacebookでご覧いただけます)。
「ここのレストランにしてよかったね」
何も知らずに予約(笑)。なんてラッキー。パレードの後は、改めてテーブルに戻りデザートタイム。この時点ですでに夜中の12時。
「そろそろ帰ろっか」「歩いて30分、腹ごなしにちょうどいいね」
海岸通りをふらふらと歩く。すごい人で、まっすぐ歩けない。なんと前方に光り輝く一帯が。こ、こ、これは特設遊園地!この時間帯に「きゃ〜きゃ〜」叫べるのもすごいが
「小学生が大騒ぎして乗りまくっている」
夜中の12時過ぎに(笑)これぞスペイン。全力で遊ぶ。時間なんてどうでもいい。人生を時計で区切るな。
「時間よ、私の中を流れて行け」
これっしょ(←自作)。遊園地を通り、コンサート会場を抜け、やっとうちにたどり着く。かと思ったら
「あそこ、カルメン像のパレードが!」「担いでいるの、女性ばかりだよ」
初めて見た。こんな真夜中に。夜の空気をまとって、去って行くパレード。マラガのみんなに愛されている聖人。ビルヘン・デル・カルメン。
「夜香(よが)」
闇の中で、女性たちの髪に飾られたジャスミンの白が揺れる。地中海に抱かれた町・マラガから、みなさまへ愛を込めて。
日本は湿度の高い日が続きますね。熱中症に気をつけて、すてきな一日を。