【一日一作プロジェクト】「全ては変わり続ける」を作った。ついに、オーナー家族がドイツからやって来た。顔なじみの女弁護士さんも一緒なので、ほっ。
「はじめまして」「どうぞ、中へ」
打合せの場所は、うちの部屋。なので、初めて目にする「完全改造住宅」に、驚愕&発狂するのでは?とひそかに心配していたら
「あら、あなたアーティストなのね?」
穏やかな第一声。床には、3メートルのキャンバス地が、絨毯のように広がっている(ペイント中なので、移動できずそのまま)。それをみなさん、よけながらよろよろと歩く。
「実はドイツから急遽スペインに帰国が決まり、この部屋に住むことになりました」
想像は、していた。問題は、退去の時期や条件。この部屋を、最初の状態に戻すのか。家具を全て運び出すのか。莫大な修繕費を払うのか。
実はここ、格安物件。20年かけて、目に見えないくらいゆっくりと値上がりしていった。おかげで今の家賃もかなり安く、友達のワンルームマンションと同じ値段。ここを出たら確実に、狭く高くなる。
「来年から住みたいので、退去日を検討してもらえますか?」
あくまで、円満解決の流れ。私も正直に「これを最初の状態に戻そうとすると、2、3ヶ月かかるのですが」と不安げに切り出す。と・・・
「このままでいいですよ。壁のペイントも。取り付けた棚や家具も」「ええっ⁉︎」
「使わないなら、全て置いていってください。洗濯機もベッドも。出すの大変でしょう」「ほんとに?」
うそ。こんなことが。思わず天を仰ぐ。ベラ、夜逃げしなくてよかったよ〜(笑)。聞けば、全面リフォームするので、業者さんに一括してお願いするから大丈夫。掃除もしなくていいとのこと。
「引っ越し先のめどがついたら連絡してください」
わずか20分ほどで、オーナー家族&弁護士さんは帰って行った。あぁ〜久しぶりに緊張。とりあえず、眉間に深いシワを刻んで、心配してくれた女友達に報告。
「はぁあっ⁉︎ここまで勝手に改造して。洗面所のタイルやテラスの壁までペイントして。何も言われなかったの⁉︎信じられない」
夜逃げのはずが、円満退出(笑)。ひとまずほっ。とはいえ、退去&引越しは決まったので、私の生活は、これから大きく変わる。
「山が動く」
20年以上、暮らしたマンション。音楽屋になり、ピアノの先生になり、ベラと暮らした日々、思い出が詰まった場所。そして。アーティストとして再出発する決断をしたのも、この場所だった。
「新しい所へ行けって、言われてるのかなぁ」
次のステージのために。新しい自分のために。もっとふさわしい場所が、私を待っているのかしら。今はまだ、心が痛いけれど
「喪失を、卒業に変える」
のは、私たち自身。大切なのは「何をするか」だ。「どこにいるか」ではなく。自分のこれからの人生を考えながら、ただ今、消化中。
「全ては変わり続ける」
芽を出し、葉をつけ、花を咲かせ、種をつけ、枯れ落ち、その下から再び新芽を出し。私たちの人生は、日々変わり続ける。とどまるものは何もない。うちわアート。
これから忙しくなるぞ〜。年内はノンストップ。フェリアで力尽きるまで踊っておいてよかった(笑)。空が、雲が、光が変わる。みなさま、すてきな9月を。