【一日一作プロジェクト】「鳥夢芽花」を作った。オウム問題の続き。「受け入れ先」は見つからず、落胆の日々が続く。でも、条件は絶対に変えられない。
「パートナーのメスがいて、鳥かごの外で遊べること」
これまでは、何でも「努力」すれば解決できた。自分が、がんばりさえすればよかった。でも今回は。努力だけでは、どうにもならないのかもしれない。
「許可証がおりず、受け入れ先も見つからなかったら、どうなるのか」
それを考えると、心が凍りそうになる。オウムの体をぎゅっと抱きしめると、涙が溢れてきた。どうして一緒にいられないのか。どうして。どうして。顔を上げると、灰色の羽がびっしょりと濡れていた。
「ごめんね。お母さん、もうひとがんばりするよ」
スマホに手をのばし、着信メールを確認。すると。保護鳥シェルターのSさんから、新しい情報が届いていた。
「もも、最高の場所が見つかったよ!」「メスのヨウムがパートナーのオスを探していて」「鳥かごはなく」「2人の新居を建設中」
写真には、かわいらしいメスのヨウムが、腕にとまってこちらを見つめていた。田舎の一軒家。広い庭には、2人の新居が。色とりどりのオウムやインコが楽しげに飛び回り・・・
「こんな場所が、本当に?」
まだ、目にしているものが信じられなかった。ここに行けるの?住めるの?受け入れてもらえるの?「この先は2人で話し合って」と、送られてきた連絡先へさっそくメッセージ。
「はじめまして。マラガのももです。シェルターからの紹介で」
オウムと私の写真を送ると、すぐに返事がきた。オーナーの「ペペ」は、田舎に住む30代半ばの男性。メスのヨウム「ナナ」ちゃんが
「寂しがりやで胸の羽を抜くので、友達(恋人)ができたら元気になるのでは?」
と、元気なオスを探していたとのこと。保護鳥シェルターのお知らせページに、私とオウムの写真&データが載っているのを見つけ「よかったら、うちに」と、申し出てくれたのらしい。
「会いに行ってもいいですか!」「もちろん」「あっ、ところで、スペインのどこでしたっけ?」
後から聞く〜(笑)。どこにでも行く気だったので、遠いのはかまわない。問題は、列車かバスで行ける場所なのか。
「A県の、C村です」
うーん。行ったこともない地方。A県って、マラガからどうやって行くんだっけ?地図を見ると、まずマラガから特急AVEでマドリードへ2時間半。そこから乗り換えて、さらに2時間。片道5時間の道のり。
「C村は、そこからさらにローカル線で1時間」
時刻表を見ると、日帰りは無理。1泊の旅かぁ。まずは私が行って、条件や環境を確認。ペペと話がまとまったら、次はオウムを連れての旅になりそう。
「チケットを買うぜ〜」
駅へ走り、さっそく特急列車の往復チケットをゲット。家に戻ると、ペペからナナちゃんの動画が送られてきた。さっそくスマホをオウムの前に突きつけ
「ナナ、ナナ、ナナ・・・」
と念仏のように唱える。自分と同じ種類のオウムであることはわかるらしく、スマホの画面をじっとのぞき込んでいる。よしよし、毎日これを続ければ、相手の存在を認識できるのでは。
「ナナちゃんに会いに行くんだよ〜」「2人でこれから列車で旅をするんだよ」
久しぶりに気分が高揚。ってか、これまでずっと悲報続きだったので、まだ信じられない気持ち。と、その時。動物病院から、連絡が入る。
「オウム同士が一緒になるには、国が定める公式の健康診断が必要」「まず動物病院で健康診断をしてから」「隔離もあり」
なにーーーーーーっ!(驚)オウムを連れてペペの家に行けばいいんじゃないの⁉︎まずは動物病院なんかい。聞けば、数種類の検査があり(オウム間でうつる病気に関して)
「それで引っかかると(陽性が出ると)受け入れ先はどこにもない」
はぁあぁ!!!???陽性出たら終わりなの⁉︎もう先はないの⁉︎他のオウムと一緒に暮らすことはできないの⁉︎治療法はないの?
「天国か地獄か」
の2択。うそやろ(涙)。せっかく天国の場所はわかったのに。チケットもゲットしたのに。いったいいくつのハードルがあるんじゃ〜。ペペも行きつけの動物病院に確認してくれるが、答えは同じ。
「とにかく、A県の動物病院にオウムを連れて行かないと始まらない」
ペペ(ナナちゃんの父)と、私(ココの母)は、まるで「お見合い」を進める両家のように、これからのことを話し合った(先方の希望で全て仮名)。私たちの共通の願いは
「2人が幸せになってくれること」
その1点で、私たちは結ばれていた。お互いのことは、まだ何ひとつ知らなかったけれど。その時、ペペがぽつり。
「一緒にココも連れてきたらどうかな?駅に迎えに行くから、そのまま動物病院へ行こう」「大切なのは、僕たちよりココとナナが合うことだよね」
確かに。一瞬で決断。いきなりオウムも連れて行くことに。ところで、オウムは列車に乗れるんだっけ?証明書や許可証は?チケットは?
再び、駅へ走る。あまりの急展開に心臓がバクバク。次々と現れる新たなハードル。なんかもう、ずっと100本ノックをしているみたい。
引越しの準備は、夜になってから。疲れているのに全く眠くならない。ってか、もう引越しが、かすんで見える。はたして。どんな旅が私たちを待っているのか。
「鳥夢芽花(とりゆめばな)」
コラージュアート。鳥であり、夢の芽であり、花でもある。12/10は「Día internacional de los Derechos Humanos y Animales」。国際人権デー(動物たちも)。命を大切にする社会を。
みなさま、すてきな1日を。