【一日一作プロジェクト】「希しぶき」を作った。オウム問題の続き。問い合わせメールがご縁で、知り合ったMさん。私とオウムをいつもメールで支えてくれたその女性が、目の前に立っていた。
「あぁあ、やっと会えた!」
挨拶より先に「ポル・フィン(やっと)」って(笑)。私たちはハグをし、これまでの状況を一緒に整理した。的確でストレートで具体的で。頭の回転が早くて。
彼女がとても知的で優秀で、動物好きなのがすぐにわかった。こんなすてきな人が、私たちを応援してくれていたの?(きゅーん)
「事務所に送ったメールを全部、見せて下さい」「うん、いい感じ。これで続けて」「次は書類の記入だけど・・・」
私たちは心を割って意見交換し、次にやるべきことを話し合った。実はこの後、記入の難しい書類の提出が待っている。私には判断できない専門用語がいっぱい。そこでMさんに提案、というかお願いをした。
「お金を払うので、書類の代行をしてもらえませんか?仕事として」
Mさんは「やったことがない」と即答。「Mさんしか頼める人がいない」「たとえ申請が通らなくてもお金は払います」「一緒にトライしてください」と必死の説得。懇願。ついに
「わかりました。結果は約束できないけど、やってみます」
おお〜。大きな一歩。Mさんと私が組んでダメなら、あきらめがつく。ってか、これ以上の最強コンビはないぜ〜。人生は不思議だな。会ったこともない人が、次から次へと人生に現れる。
「オウムが結ぶ縁」
問題解決のためではあるが(汗)。プロジェクトを分かち合える人がいる。って、なんて安心感。悲しい時、心細い時、相談できる。ハグし合えるって、なんてすばらしい〜。帰り際、Mさんがきっぱりと言い切った。
「誰かの心を動す。そうすれば、扉が開く」
許可証の申請もしかり。事務所にいる、誰か1人の目に留まればいい。100人の心を動かす必要はない。たった1人。
「そんなこと、私にできるのかな」
自信なく呟くと「少なくとも、私の心は動かされた」と、Mさんは笑った。元気をもらって家に帰ると、シェルター長のSさんから連絡が。残念ながら、今のところ私の希望を完全にカバーする人、環境はないとのこと。
「オスでなくメスを希望」「現在、家を建て直し中で受け入れは来年」「ヨウムはもう2羽いるので他の鳥を」・・・
がっくりしてテーブルに突っ伏していると、オウムがよろよろと寄ってきた。ごめんね。泣いてる場合じゃないよね。お母さん、がんばるよ!Sさんは引き続き探してくれると言うが
「自分でも探さなくちゃ」
むくっと立ち上がる。オウムグループ、保護センター、動物園、個人宅など、かたっぱしらから電話&メール。お隣さんが「近所にオウム好きな女性がいるわよ」と教えてくれれば
「すみません、オウムに会いにお宅にお邪魔させてください」
いきなり(笑)初対面で。怪しいヤツ。なのだけど、もう「人にどう思われるか」など、どうでもよくなっている。事情を説明し、さっそくお宅に駆けつける(←ほとんど宗教の勧誘の強引さと早さ)。
「おお〜同じヨウムだ」「うちには3羽いるのよ」
みんな仲良さそう。なのはいいが、オウムの他にも猫が8匹、犬が10匹。うーん。リビングは「動物園」と化している(汗)。さらに、独り者のオウムはオス。オス同士はケンカの確率が高い。
「鳥のパートナー(メス)、鳥の家族を作れる環境」
を思うと、やはりここではない。お礼を伝え、チョコレートを手渡すと「預け先がないなら、いつでも世話するから言ってね」と、女性は優しく声をかけてくれた。家に帰ると、オウム好きの男性から
「うちで大切に世話しますよ」
とメッセージが届いていた。ありがたい申し出なのだけど、オーナーが70歳のご高齢の方なので、やんわりとお断りした。ヨウムは寿命50〜60歳。なので、あと30年くらいは元気に飛び回っていそう。
「あぁあ、どうしたら」
突然、私と離れ離れになって「自分は捨てられた」とオウムが感じないこと。さらに「パートナー(メス)との新しい生活」「鳥かごの外にいられること」だなんて、虫がよすぎるんだろうか。
「マドリードの女性」「バルセロナのおじさま」「アルメリアの女の子」「ハエンの男性」
受け入れ話が持ち上がるたび「今度こそ!」と期待をし、それがすぐに落胆へと変わる。期待と落胆。希望と絶望。私の心は毎日、ジェットコースターのように急上昇、急降下をくり返す。
急激なエモーションの波にさらされ、それを何度もくり返すうち、私の心はぼろぼろに擦り切れていった。もう、期待はしたくない。その後の絶望が深すぎて。
「今より幸せになってくれるなら、どんなことでもする」
その祈るような思いだけで、私は立っていた。そして。ついに。奇跡は起こった。
(明日に続く)