光水鳥

【一日一作プロジェクト】「光水鳥」を作った。オウム問題の続き。スペインの許可証の申請をスタート。その後、動物園に勤めるCさんから電話が入る。

「もも、かなり難しいよ〜」

聞けば「スペインの許可証がおりる可能性は極めて低い(まさに5%)」「世界的に鳥インフルエンザで、今後も国境が開く可能性が低い(日本入国不可)。さらに。ここが問題なのだが

「たとえ国境が開いても、3日や1週間で閉まる」

ことがあるので、渡航直前に必要な「40日間の検査隔離」「健康証明書などの必要書類」を準備している間に、再び国境が閉まり「置き去りになった動物たちが沢山いる」と教えてくれた。そして。つてをたどり

「国境が開く&許可証がおりるのを待つオウムたち」

を、見に行けることになった。そこには、3羽のオウムたちがいた。それぞれ鳥かごの中で、ぼろぼろになりながらぼんやりしていた。

「もう3ヶ月待ち。ドバイ行き」「こっちは4ヶ月待ち。カナダ行き」

指さされるオウムたちはみな表情に乏しく、羽はすり切れ、おもちゃ1つ与えられることなく、ひまわりの種だけを食べ、ぐるぐると鳥かごの中をうろついていた。

「これじゃ、収容所だ」

こんなことはさせられない。私は一緒に日本に連れて帰りたいけれど、こんな目にあわせるわけにはいかない。ふらふらと帰宅。すると、再びCさんから連絡が。

「カタルーニャにある保護鳥のシェルターに友達がいるから、相談してみて」

すぐに連絡。さっそくZOOMで面接。シェルター長のSさんに、私たちのケースを相談する。獣医であるSさんはうなずながら、私の話をずっと最後まで聞いてくれた。と、その時・・・

「ぷぷぷっ」

オウムが、スマホ前に割り込んできた。Sさんの顔をじっと見つめて仁王立ち。「はっはっは」と大声で笑いながらSさんは

「おお〜元気なオスだね!羽がツヤツヤ。筋肉質。目も輝いてる。健康そのもの。よくここまで育てたね〜」

これまでひたすら「ダメ」「できません」「禁止」「不可能」と言われ続けていたので、心温まる言葉に涙が出そうになってしまった。

「うちは保護鳥のシェルターで、迷い鳥や飼えなくなった鳥を最後まで世話するNGOなんだけど」「見ました!YouTubeで。鳥かごじゃなく、手作りの20メートルくらいの家に、オウムたちが仲良く住んでいるのを」

広々としたスペースに、オウムたちがひとつの家族となって共同生活。暖房まで設置され、一日中太陽の光を浴びて遊んだり、ボランティアの人たちの手からフルーツをもらったり。自由に飛び回って生活していた。

「うちにはいろいろな鳥が来る。劣悪な環境に置かれていた鳥もね」「いじめられほったらかしにされていたオウムと、愛情をたっぷり受けて育ったオウムは違う」

「あなたのオウムはシェルターではなく、個人で世話をしてくれる人がいいと思う。うちからオウムを引き取って育てている人が何人かいるから、紹介しようか?」

「オウム好きで、すでに何羽か仲良く暮らしているから、新入り君だって馴染みやすいはず」「メス1羽だから、オスがほしいっていう人もいたっけ」

「日本とスペインを行き来するならなおのこと。安心して預けられる場所が必要」「もしスペインと日本を行き来できなくなった場合、日本の国境が開かない場合も考えて、オウムにとっていい環境を整えてあげることが大切」

これまで、オウムと離れ離れになるなんて、考えたこともなかった。死ぬまで一緒だと思っていた。本当に、オウムを手離すことが自分にできるのか。わからない。でも、Sさんの話を聞くうち、今の私にできることは

「オウムにとってよりよい条件、環境を用意してあげること」

なんだと、思い始めた。Sさんは、データをひとつひとつ記入していった。食事、おもちゃ、ライフスタイル、癖、好きなこと、嫌いなこと、健康状態・・・そして最後に、私に尋ねた。

「ももが、絶対にゆずれない条件は?」

それは、最初から決まっていた。「できるだけ鳥かごの外にいられること」「同じ種類のオウムがいること(できればメス)」「自由に飛び回れること」。

「今より、オウムにとって幸せでなくちゃ」

私といられないなら。せめて、メスのパートナーを。新しい家族を作れる環境を、整えてあげたい。「鳥の家族」「鳥の仲間」を持たせてあげたい。

「よし、その条件で探そう。何県までOK?」「スペイン国内ならどこへでも!環境優先。どこにでも話を聞きに行きます」「わかった。じゃ写真を7、8枚送って。データに入力しておくから。明日から始めよう」

動き出したプロジェクト。心が揺れる。私の望むような条件の環境が、本当にあるのか。わからない。でも、このスペインのどこかに。きっとあるはずだ!まずは私が信じなきゃ。大切なのは

「自分の悲しみより、オウムの幸せ」

ここに集中しよう。面接の最後にSさんは「もも、最後の言葉はいつも君が持っている。最終的に手離すのがイヤなら「ノー」と言えばいい。いいね?」と、優しく背中を押してくれた。

「光水鳥(ぴかりみずどり)」

光と水の聖鳥。光と水にあふれた私たちの地球をイメージして。コラージュアート。どんな明日が待っているのか。誰にもわからない。だからこそ、全力で今日を生きる!

スペインは飛び石連休中。みなさま、すてきな1日を。オウム問題は、明日に続く。

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