【一日一作プロジェクト】「己立(おのれだち)」を作った。ゴミ捨てに行ったら、散り始めた桜の花びらで
「じゅうたんができていた」
そっと、踏みしめて歩く。枝を離れ、大地に横たわる花びらは心なしか色を失い、白っぽく見える。なんて短命な。2週間前は「今か今かと」満開を心待ちにしていたのに。なんという変わりよう。桜ほど
「散る」
という言葉が、すぐに思い起こされる花はない。その下で、いくつものかわいらしい花たちに出会った(写真)。ほとんど誰にも見つめられることはないけれど、なんて可憐で高貴でたくましい。「ゴミ捨てに行く」というより
「花たちに会いに行く」
先日は、カラスがいてびっくりした。大きくて黒々とした羽が、濡れたように光っていて。まるで主(ぬし)のように、ゴミの上に君臨していた。マラガにはカラスがいなくて(日常的に目にすることはなく)
「色も、音も、匂いも、形も」
スペインと日本では、あらゆることが異なりおもしろい。マンション暮らしから一転。実家で、大地での生活になり
「土を踏む時間が圧倒的に増えた」
庭があるだけで、こうも暮らしが変わるものか。「庭でペイントできたら楽しいだろうな」と思っていたら、急遽スペイン行きのフライト日が早まり、あわてて仕切り直し中。
「キウイ棚作りもラストスパート」
防腐・撥水塗料を塗りまくる〜。脚立に登るのも本日が最後か。不思議なもので、どんどん体幹やバランス感覚が鍛えられ、今ではふつうに
「脚立の上でつま先立ち」
できる。いつのまにか足の裏の感覚が、手の感覚に近づき、握ったりつかんだり。人間の肉体は、どんどん進化する。鍛えられ、新たな感覚や能力を引き出され
「その無限性を自らの肉体を通して感じた」
1週間だった。棚やキウイの果実よりも、その経験、プロセスこそが「実り」。すでに、収穫済み(笑)。まぁ、途中で3回くらい
「なんで始めてしまったんだろう」
と思ったけど(汗)。最後までやり抜いて、本当によかった。これにて、キウイ棚も無事完了。雨に降られても大丈夫。毎日、作業に駆り出されていた父もお疲れ様でした。
スペインでは、セマナサンタ(聖週間)のまっ最中。イエス像やマリア像の写真、パレードの動画がばんばん送られてくる。とにかく濃厚〜。その横で私は
「散りゆく桜に『もののあはれ』を感じている」
ところ変われば。そんな桜は、日本では「始まり」を告げる花。新学期、新年度。新しいスタート。桜吹雪と共に始まる1年(スペインは9月スタート)。
「己立(おのれだち)」
「己」文字が、自分の足で立つ。すくっと。自分の足で歩くから、楽しい。すっと背筋が伸びる。腹が据わって呼吸が深くなる。誰かや何かに寄りかかっていたら、真の自由はない。たとえ安心、快適でも。
始まりの4月。みなさま、すてきな1日を。