ふわり

【一日一作プロジェクト】「音(ふわり)」を作った。先日「フェリアに現れた日本人観光客」として、新聞に載ったので

「じゃあ、その新聞を買おうじゃないか〜」

とセントロの旧市街へ。古い建物の3階にある「La Opinión」のオフィス。さっそく受付のおじさまに

「8月15日の新聞がほしいんですけど」

5分ほどして「はい、これね」と手渡される。定価は2ユーロほど。

「あの〜、買いますから中を見て確認してもいいですか」「確認って?」「フラメンドレスで、私が載ってるはずなんです」「おおーっ」

さっそくおじさまと2人、カウンターに広げて確認(笑)。「おぉ、よく似合ってるねぇ」と、笑顔で送り出される。新聞を買うなんて久しぶり。6、7年ぶりか。確かその時も

「フェリアに来た日本人観光客として載った」

んだよね(笑)。さて。いくつか用事をすませながらセントロを歩く。中央市場のアラビックな馬蹄形の門が美しい(写真)。

スペインは、ヨーロッパで1番イスラム教徒による支配が長かった国。700年以上の長きに渡り、アラビア文化がもたらされ、花開いた。特にアンダルシア地方はその中心地。そんなわけで

「街のあちこちに、アラビックアートが」

タイル細工も、もちろんアラビア文化の影響(写真)。壁に飾ったり、ペーパーウエイトにしたり。素朴で、味があってとてもすてき。私もタイルアート、やってみたいんだよな〜。

「そうだ、実家の庭の一部をタイル&モザイクアートにしよう」

怪しい衝動が(笑)。果樹や野菜、花の間から顔を出す、聖獣たち。守りの手。大地に置かれた、自然と一体化したアート。よおっし、心と体と生活が落ち着いたら

「ガーデンアートをやるぞ〜」

と書きながら、別に落ち着かなくたっていいじゃん(笑)と思った。さっそく次回、日本帰国した時に材料について調べてみよう。工務店のYさんチームに、素材や扱い方についてレクチャーしてもらえないかなぁ。

帰り道。旧市街の裏通りから、ギターの音色が流れてきた。時々、そのギターリストのお兄さんに会うのだけれど、あのスペインの名曲

「アルハンブラの思い出」

が流れてくると、いつも立ち止まってしまう。観光客や忙しい市民は、見向きもせずに通り過ぎて行く。でも、その音色は風のように。人々の心を温ため、なぐさめ、元気づけ、何もなかったかのように去っていく。

「その風が心の中を吹く前と後では、心の状態がまるで変わっている」

まさしく、音楽は魔法の風。私もかつては音楽屋であったのに、最近では「あれは夢だったのか」と思えるほど現実感がない。忘れてしまったのではなく、それくらい遠くに来てしまった。アートを人生のまん中にすえて生き直し、全力で歩むうちに

「景色が、世界が、私自身が変わった」

自分でも知らなかった新しい自分。天国のベラや母は、どんな気持ちで見守ってくれているのだろう。「ロカ(クレイジー)」と呆れながら、笑ってくれているといいなぁ。

穏やかでどこかもの悲しいギターの音色は、裏通りの石壁や石畳にじんわりと沁み込み、街路樹やその木陰で羽を休ませる小鳥たちの、そよ風となる。

ふわりと私たちの心に舞い降り、目に見えない足跡を残して去っていく音楽。私たちの心を、その羽でふわりと包み込む。ストリートミュージシャンを始め、心を、命を大切にする社会であってほしい。

「音(ふわり)」

「音」文字。今日はどんな音楽を聴いて過ごそう。みなさま、すてきな週末を。

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