【一日一作プロジェクト】「あ・そ・ぼ」を作った(2022年の作品を紹介中)。朝1番で、建具屋のSさんが現れた。
「折れ戸をつけますで〜」
トンカチやノコギリ、木材を削るカンナの音色。なんて美しい調べ。職人オーケストラ(笑)。ライブ感がたまらない〜。
「この折れ戸、Sさんが作ってくださったんですか?」「そうです」
毛布にくるまった折れ戸は、お姫様のように運ばれてきた(笑)。辺りにヒノキの香りが、ふわっと漂う。思えば
「廊下の仕切り戸も、ふすま代わりに入れたアクリル戸も」
全てSさんの作品。職人さんに手を、心をかけてもらえる。これぞ贅沢。若い時はわからなかった真の価値。今年76歳になるSさんは、まだまだ現役。昼食をする暇もなく
「これから隣町の保育園へ」
建て付けに行くのだと言う。脚立に登ったり降りたり。背より大きな板や戸を抱え、工具を使いこなし。かっこいい〜。聞けばここ30年、病院の世話にはなっていないとのこと。すごいな。壁に架けられた私の絵を眺めながら
「これ、全て描かれたんですよね?」「展示会はどこで?」
とても丁寧な仕事をされる、職人気質のSさんに尋ねられると、なんだかくすぐったい。傷ひとつなくぴしっときれいに収めるSさんと、スペースや規制を無視して飛び出さんばかりの私の作品は、どこか対照的。
「よかったら焼きそば、車の中で食べてください」
紙皿に乗せて出そうとしたら「ランチはしなくても大丈夫なんです」。お茶とお煎餅だけ持って行かれた。ちょっとお腹が空いているくらいが、ちょうどいい、とのこと。
「すばらしい出来栄えだなぁ」「Sさん、またよろしくお願いします」
父と玄関で頭を下げる。Sさんは「建具屋を継ぐ若い子が少なく」「大工は多いけど」「和風の木造建築やリフォームが年々少なく」「建具屋という職人そのものがすたれていく」のが心配だと言った。
職人さんとか農家とか、この国の産業の担い手、現場の人たちを大切にする社会であってほしい。日本政府は海外に金をばら撒き続けているけど、この国を支えているのは国民。自国ファースト。
「来週は二重窓だね」「Sさん、来てくれるかなぁ」
家のリフォームを通して、いろいろな職人さんたちと過ごせるのが楽しい。そして。自由にリフォームさせてくれる父に感謝。
「あ・そ・ぼ」
私と創作は「AMISTAD(友情)」で結ばれている。制作中は、友達と「遊んでいる」感じ。たとえ寝食も忘れ、没頭していても。行き詰まって髪の毛をかきむしっていても。1日の終わりには
「あぁあ、よく遊んだ〜」
と、ベッドへ転がり込む。小学生かい〜(笑)。素材は私を誘う。ひらめきは私をいざなう。毎日毎日「あ・そ・ぼ」と。
みなさま、すてきな1週間を。