夜窓シリーズ

【一日一作プロジェクト】「夜窓シリーズ」を作った(2022年の作品を紹介中)。昨日の続き。薪ストーブの火が力強く燃え上がる。

「熱い〜」「ぽかぽかだー」

窓は開いているのに、ものすごい熱さ。ほっぺが紅くなる〜(写真)。つるつるぽかぽかのリンゴ娘。薪ストーブから放射される熱って、すごいんだ。

「これでも7割くらいですかね。でもまぁ、これ以上使うことはないでしょう」「絶対ありません」

きっぱり。薪ストーブの上で沸かしたお湯で、ひきたてのコーヒー。なんかめちゃおいしく感じる。フライパンでウインナーを炒めたら、ワンコがすぐに反応。

「はいはい。むくちゃん、すぐあげるからね」

動物にはめちゃ甘い父(だから、私にも甘いのか?)。大屋さんが淹れてくれたコーヒーを味わいながら、次のプロセスへ。

「これから、火を小さくしていきます」

当たり前だけど、薪ストーブはエアコンやガスコンロと違って「火力調整やオンオフのボタン」はついていない。すべては

「木と空気の量で調節される」

すごすぎん?シティガールの私には、全てが未知の世界。本当に自分にできるのか不安にもなるけれど「やってればできるようになります」と軽く笑い飛ばす大屋さん。「それより」とメガネの奥の目を光らせ

「ナタを使えるようにしてください」

おい(笑)。自分のバール(先にテコのような部分のついた金属製の棒。凶器にもなる)を持っているだけでも珍しいと思うのに、次はナタ、って。

「まずこうしてナタを薪の頭に食い込ませます。重い薪をつかみ、ナタの背に力強く振り下ろす」「ばきっ」

おぉおー。見事に薪がまっぷたつに。初心者でもコツさえつかめば簡単とのこと。その見事な手さばきを眺めながら

「これが、私の仕事となるのか」

すごいな。自分で言い出したこととはいえ。人生、何が待っているかわからない。今年の自分へのクリスマスプレゼントは「ナタ」に決まりだな。

「火は、育てていくものなんです」

そうでしょうとも。買ってきた太いゴロゴロを突っ込んどきゃいい、というわけじゃない。まず、ナタで縦割りにし、火の状態に合わせて

「細い→太い順に入れ」「空気が通るように配置し」「火を育てていく」

なんという世界。えらいこっちゃ。そういえば、岐阜県の山奥に住んでいたとくばあちゃんが、薪を焚いて風呂に入っていたけれど(「追い焚き」はおばあちゃんに「熱くして〜」と風呂場から叫ぶ)

「こんな苦労と、秘められた技があったのだ」

なんであの時、学んでおかなかったのか。火の扱い方。あんなにチャンスがあったのに。聞けば、喜んで教えてくれたであろうとくばあちゃんもベラも、今はいない。

「火の色が変わってきましたね」「これで炭ができました」「もうすぐ、火が消えます」

3人と1匹は、消えつつある最後の炎を見つめて黙り込む。ふと大屋さんが、長い物語を語り終えるように「いかがでしたか?」と、笑う。

「壮大な旅でした」

木と、空気と、風と、火と。ボタンもリモコンもなく、ひたすら自分の無力を感じ、同時に猛々しいまでの火のパワーに恐怖と畏敬の念を覚え。

絶妙なバランスで保たれる火と木と風。そこから生まれる爆発的エネルギー。彼らの物語に、ただただ圧倒されていた。とりあえず、私には新しい仕事ができたのだ。

「薪割りという」

男子力ばかり上げてるな〜(笑)。「実は僕のおすすめの薪割り機は○○なんですけど」「どれどれ?」「これあると便利。吹いて火に風を送るんですよ」「おぉお〜なるほど」

メモメモ。えらいことになってきた。薪ストーブの「周辺小物」のレベルがハンパない。火や木や風と向き合う「道具」であるため、完全機能性重視、男子力高し。これから私はクリスマスソングが流れる中、女友達の誰も持っていないであろう

「ナタや、空気送り棒や、薪割り機」

などを、うきうきと探し回るのだろう。「とにかく乾いた枝であること。でも海岸で拾った流木はダメです」「どうして?」「塩を含んでいるからです!」

うげっ。言われなければ気がつかなかったぜ〜。もう容赦ないな。とにかく少しずつ友達になっていこう(薪ストーブと)。割り箸がもう「資源」にしか見えない〜。

「わからないことがあったら聞いてください」「あっ、絶対します。よろしくお願いします。今日は本当にありがとうございました」

ご縁はまだ始まったばかり。物わかりの悪い私のこと、何回もメール&電話するんだろうなぁ。夜8時。大屋さんは、トロンボーンとワンコと一緒に去って行った。薪ストーブを我が家に残して。

「夜窓シリーズ(よまどシリーズ)」

窓枠アート。ここに、いろいろなパーツを入れて遊んでいこう。思えば、薪ストーブにも「窓」がある。

みなさま、すてきな1日を。

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