ある日、何度クリックしても、ブログの「写真入力」ができない。
「これは、いったい・・・・・」
そっと、ぐぐっと、勢いよく、強く、時間をおいてもう一度・・・など
加減を変えてやってみるが、何度やってもだめである。
すぅーっと、静かに血の気が引いていく。
「いやいや、まだ壊れたと決まったわけではない。googleに相談しよう！」

気を取り直し、googleに「ブログの写真入力ができない」と入れてみる。
「ぎゃあ～っ」
今度こそ、気を失いそうになった。
そこには、わたしがこれまでの人生で見たこともない言葉がひしめきあっていた。
「アップロード」「プラグイン」「サーバー」「プラウザ」「バージョン」・・・・・

「なんなのだろう、これは・・・」
主語がわからないので、どんな動詞が来ようと意味不明である。
この不思議なものたちが、「無効化」されたり、「設定」し直されたりするらしい。

名前を聞いて「物の形状」が思いつかない、というのは恐怖である。
２０年前、広告代理店の社員をしていた時のこと
「GPS」のパンフレットを作る、という仕事があった。
当時はGPSもまだ新しく、クライアント様は意気揚々と特性を説明された。
あの時も、「物の形状」がまったくわかっていなかった。
お客さんとの打ち合わせで、
「商品の形状がわからないまま打ち合わせが進んでいく」というのは恐怖である。
「じゃ、そういうことで！」
と担当者の方に言われた瞬間、どう立ち上がったのかもおぼえていない。

話を戻そう。
ようやく「クリック」を「クイック」と間違わないで言えるようになったと思ったら
これである。わたしはさっそく大野さん、そしてクロ隊長に、お伺いをたてることにした。

結果から言うと
「ブログの中の何かが壊れており」
「何かをバージョンアップせねばならない」
「その際、データやレイアウトが吹っ飛ぶ可能性もある」
「が、挑戦してみます！ちょっとどきどきします」
と、クロ隊長はメールをしめくくっていた。

わたしたちは、バージョンアップ挑戦の日、日本とスペインで心をひとつにした。
クロ隊長は観音様にお祈りし、わたしは朝からお香をたき、メロンとリンゴをお供えした。
ただならぬ奮囲気にベラも
「パソコンにも、お香って効くの？」
と、あやしんでいたが、昨夜もどきどきしてよく眠れなかったのだ。
「どうか、お願いいたします。バージョンアップさせてください！」

わたしたちの願いが届いたのか、クロ隊長は無事、バージョンアップに成功！
ブログは生き返り、再び写真入力もできるようになった。
「ああーっ、やったー！」
「おめでとうございますっ！」
わたしたちは海の向こうとこっちで、祝杯をあげた。
互いの姿は見えないけど、何か大きなことをやり遂げた満足感でいっぱいだった。

夕方。海に向かってビールで乾杯しながら
「今夜はゆっくり眠れそうだ・・・」
と全身から力がぬけた。
そして、ここまで尽力してくれたクロ隊長のためにも
「全力でブログを入力しよう！」と、心に誓った。

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