エスペランサ・手続き問題

【一日一作プロジェクト】もも衣アート「エスペランサ(希望)」を紹介(2022年の作品)。私の体と心を打ち砕いたのは

「1通の爆弾メール」

だった。話を戻すと、実は手続き問題で、必要書類のフォーマットや規制が新しくなった連絡を受け、11月からそろそろと動き出していた。

新年が明け、書類を再申請。一気に畳みかけるため、連日駆けずり回っていた。そして数日前、ついに1年以上待ち続けた

「スペイン政府より肯定的な返事が!」

全身が喜びで震える〜(涙)ついにここまで。手伝ってくれる仲間たちも「ここまで来たら、あと1歩だよ」と一緒に喜んでくれた。昨年から挑戦に挑戦を重ね、

「全力を尽くすことが日常」

になっていた(←そのこと自体が異常)。Aプランが却下され、Bプラン・・・C、D、E。最後には完全拒否、一時中止にまで追い込まれた手続き問題。

「今回はゼロ、いやマイナスからの再戦」

再トライ。私自身、もう後はない。これが最後のチャンスと覚悟してのぞんだ。なんというか、刺し違えるくらいの気持ちで。

「残すは1枚の書類のみ」

これをクリアーすれば、希望の扉が開く。そして。スペイン政府はその最後の書類にも、温情的な措置をとってくれた。そうでなければ

「マドリードとかバルセロナとかビルバオとか」

にすぐさま飛んで行き、新たな作業&手続きに入らねばならなかったところ。おぉお〜(涙)。まさに、そんな希望が見えた瞬間、その爆弾メールは届いた。日本政府から。

「その書類は、受理できません」

日本政府が求める条件にそぐわないという理由で。あわてて内容確認のメールのやりとりを始める。とはいっても、日本とスペインには7時間の時差がある。

「日本の朝10時は、スペインは朝方の3時」

昨晩まで38,5度あった体で、書類を読み、ビジネスレターを書き、そのたびに3枚くらいの説明メールが届き(書類や法に関することなのでよくわからない表現が多い)必死でやりとりするも

「スペイン政府へ、的確な選択肢をマークするよう依頼してください」

って平行線。つまり、日本側はゆずりません、ってことなんだろう。あまりのショックで心臓が早打ちし、メールのやりとりを終えた頃には

「再び高熱で体が持ち上がらず、食欲もなく、泣く力さえなく」

咳と青痰を吐きながら、ベッドに横たわっていた。正直、体はどうでもいい。問題は、心が折れてしまったことの方なのだ。

「1年半かけて、やっとふくらませた風船が、ぱちんと一瞬で割られてしまった」

そんな気持ち。希望から絶望へ。光から闇へ。奈落ってここなのか。立ち上がること、窓を開けることさえできず、力尽きて目を閉じる。

いつのまにか眠ってしまい、窓の外から聞こえる子供たちの声で目が覚める。うちのマンションの前は学校なのだ。

「なんて生命感にあふれた声。音楽のような」

小鳥のような。春のような。それは「エスペランサ(希望)」のメロディ。絶望はしてはいたけれど、さっきとは違う私がそこにいた。

「まだ、100%ダメと決まったわけじゃない」

スペイン政府と日本政府の書類を、再び読み比べてみる。どこかに解決法があるかもしれない。まだあきらめるには早すぎる。ここまで1年半、何十回というノー、拒絶、絶望を乗り越えてやってきたのだ。

「私の中に住む子供」

が、すくっと立ち上がる。「まだやれるやん」と笑いながら。その小さな手が私の手を取り、ベッドから立ち上がらせる。まるで

「あそぼ」

と誘っているかのように。泣いたカラスがもう笑った。そう、私はいつもそうだった。思いきり泣いて、怒って、もう笑っている。それを、思い出させてくれてありがとう。

山の稜線が美しい。校庭を走り回る子供たち。なんという生命感。命はどれも尊く、美しい。全てが無条件に愛おしい。愛が、私を立ち上がらせる。

手続きの裏には、人生がある。命が。希望が。祈りが。命を大切にする社会でありますように。

みなさま、すてきな1日を。

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です