【一日一作プロジェクト】「己魂(おのれだま)」を作った。スペイン到着翌日。朝7時半に起きて、バスでセントロへ。
「地区が変われば、バスも変わる」
景色も、ルートも、生活動線も。ま、マラガそのものに土地勘があるので、方向感覚や距離感は大丈夫なのだけど。
「お腹ぺこぺこじゃ〜」
夕食も食べず10時間も寝ていれば。さっそくテラス席で朝食。ベーコン、スペインオムレツ、レタス、トマト入りサンド&紅茶。一気にエネルギーチャージ。朝食後はバスステーションへ。
「中距離バスに乗るのは久しぶり」
A市までバスで1時間。窓が大きいので、なんとなく観光気分。座席も空いているし。ゆったりのんびり。近くに座っていたお姉さんが、器用な手つきで「鍵あみ」をしている。
「上手だなぁ。無駄な動きが少しもない」
細いピンクの毛糸が、どんどん形になっていく。思わず心を奪われ、じっと見つめていると、私の視線(凝視)に気づいたお姉さんが、ふと顔を上げた。
「あ、ごめんなさい。すごく楽しそうで。上手ですね」「あら、これ簡単なのよ〜」
おしゃべりしながら(その間も手は器用に動かしつつ)わずか5分ほどで作品は完成。「できた」と呟くと、私の顔を見つめながら
「はい、これあげる」「えっ」
お姉さんは惜しげもなく、今編みあがったばかりの作品を私の手のひらへ。何を編んでいるのかよく見えなかったのだけど、私の手のひらに乗っかっていたのは
「ピンクハート」
きゃー。かわいいーーーっ。うれし〜。思わず両手で握りしめてしまう。実は「手続き問題」で、これからどうなるのかまるでわからず。不安を抱えて1人、遠くの町までバスで。そんな時にピンクのハートが〜。
「これはエール。ハグ。お守りだ〜」
きっとうまくいく。がんばれ。大丈夫。幸先よし。そんなメッセージにちがいない。
「今日は私のラッキーデー!ムーチャス・グラシアス」
お姉さんにお礼を伝えながら、カバンに入っていた日本のチョコレートを差し出す。他にプレゼントできそうなものがなくて。
「ええっ、いいの?私もラッキーデーだわ〜!」
2人で顔を見合わせて笑う。まさかバスの中で、こんなすてきな出会いがあるなんて。
「人生は、小さな『物語』に満ちている」
通りすがりのような、一瞬の出会いと別れ。私たちの心を温め、笑顔にし、元気づけ、名前も知ることもなくすれちがう。顔も思い出せない
「行きずりの人のやさしさ」
に勇気づけられ、救われることが人生にはある。一気にエネルギーチャージ。打合せも1時間ほどで終わり、再びバスでマラガへ。午後からは別のバスに乗り、別の打合せへ。へとへとでマンションへ帰還。とはいえ
「食料品も買いたいし、近所に何があるのか知らねば〜」
夕方からマンション周辺を歩き回る。スーパー、八百屋、薬局、生活用品店、バル、カフェテリア、レストラン・・・ひと通りなんでもそろっている。庶民的で住みやすそうなシウダー・ハルディン地区。
「山の稜線がくっきり」
海には遠くなったけど、山もいいよね〜。住めば都。シャワーを浴び、ベッドでごろごろしていたら、またしても睡魔が〜。時差の関係で、スペインの夕方6時は、日本の夜中の2時。
「明日は荷物を整理しよう」
スーツケースを開けて物の整理をしたい、移動なしでのんびりしたい、と思いつつ寝落ち。はたして。
みなさま、すてきな1日を。