【一日一作プロジェクト】「ティントシリーズ」を紹介中。日本出発前夜。マラガでお世話になった芳野さん&明美さんと10年(以上)ぶりの夕食会。
「お久しぶりです!」「ももさん、全然変わってないねぇ」
落ち着きがないところは(笑)。実は今夜のお店、1時間半かけてインターネット検索。「日本酒と日本料理が味わえる店」に、私のこだわりポイントをプラス。
「個人経営のこじんまりとしたお店」「おなじみさんが集まる庶民的な雰囲気の店」「インターネット予約などできず、看板も出ていないようなお店」
これらを検索し、口コミを読み、じっくり調べて見つけ出したのだ〜。はたして。さっそく1番乗りしてテーブルを陣取る。今夜は絶対、日本酒で。
「明日スペインに発ちます。日本最後の夜なので、これを飲んでから!というのをください」
なんちゅう注文の仕方(笑)。ずらりと6本のお酒がテーブルに並ぶ。壮観。ここから直感で私たちが選んだのは「高砂」。フルーティですっきりしてて、ほんのり甘くて。なんと三重県のお酒とな。
「それで手続き問題、大丈夫なの?」
どこから話せばいいのやら〜。なんせ10年(以上)ぶり。近況報告といっても、ダイジェストを通り越して思いつくまま〜。話があちこちに飛ぶ。
「おふたりが元気でよかったです」「ももさんも」
まずは、こうして笑って一緒に飲んだり食べたりできるのが1番。元気なおふたりに会えて、本当にうれしかった。鯵や金目鯛、あん肝などをつまみながら日本酒を味わう。
「めちゃおいし〜」「次は辛口にする?」
あっという間に1本を空け、お次は、新潟の『無想』で乾杯。日本酒って、どこか白ワインに似てるなぁ(専門家からすると全く違うだろうけど)。すっきり淡麗。魚介類によく合う。
「日本出発は夕方だし。酔っ払って寝過ごしても大丈夫〜」
安心しきってぐいぐい飲んでいたら、みるみる常連客でお店は満員に。テーブル2席、カウンター6席とお座敷。大将とおかみさん(超元気な若いママ)の2人で切り盛り。
「こんな温かい雰囲気の中に身を置きたかった」
まさに希望どおり。うれしー。サバサバ系のママに叱咤されつつ、お客さんは飲み喰らう(笑)。敬語も何もない世界。家族的でどこかスペイン風。
「日本最後の夜がこのお店でよかった」
大満足でお礼を伝え、お店を出た瞬間「その魔法」は起こった。蒲田駅へと続くエスカレーター。背後から女性の大きな声がする。続いて「だだだっ」とエスカレーターを駆け上がってくる足音。
「お父さーーーーん!!!」
振り向くと、なんと。お店のママが。「ええっ⁉︎」と驚いていると「はい、これ。忘れていった」と、スマホを芳野さんの手に押しつける。
あの大忙しのお店をほかって。追いかけて来てくれたの?ママがいなきゃ、注文もお勘定もできないお店なのに。たくさんのお客さんが待ってるのに。ここまで私たちのために走って来てくれたの?
「お名前、聞いてもいいですか」「ひよりです」
蒲田駅のど真ん中、ものすごい人混みの中で、私はひよりさんをしっかり両手で抱きしめていた。「ハグしてもいい?」と聞くことさえ忘れて。
「ひよりさん、ありがとう!!!」
なんて人なんだろう。このお店だから、このおかみさんだから、起こったマジック。このお店を選んだのは、偶然ではなかったのだ。
「5秒だけ、待って」
ひよりさんのことがすっかり好きになってしまい、一緒に写真を撮らせてもらう。エプロン姿の彼女は神々しく、女神のようだった。その瞬間、不思議な映像が頭に浮かんだ。
「東京で展示会をし、その打上げをひよりさんのお店で」
座敷でごろごろしながら〜(笑)。人生は、小さな「物語」でできている。何気ない日常の断片。忘れ去られてしまいそうなエピソード。でも、その中に
「心と心が結ばれた、忘れられない瞬間」
がある。あの時、全速力でエスカレーターを駆け登って来てくれた、ひよりさんの鬼気迫る表情と息づかい、思いやりを私は忘れない。このブログを彼女が読むことはないだろうけど
「私の東京の行きつけは、ひよりさんのお店」
打上げができるように、東京で展示会をしよう〜(笑)。芳野さん、明美さん、すてきな一夜をありがとうございました。どうぞお身体を大切にして。また会える日を楽しみにしています。東京レポートは明日に続く。
みなさま、すてきな1日を。