【一日一作プロジェクト】「幸運は微笑むか」を作った。「手続き問題・9」。フランス政府に冷たくあしらわれ、
「パリ周辺の鳥を扱う全ての動物病院」「国際引越し業者」「国際動物輸出入業者」
に次々コンタクト。1%の可能性にかけてひたすら連絡を入れるも、のべ150社(人)より連日「ノー」の返事が届く。最後の頼みとばかりに
「動物保護センター」「エキゾチックアニマルレスキュー」
などに懇願メール。私たちの置かれている現状を伝え、必要書類を発行してもらう方法はないのか。そうした代理業をビジネスとしている人はいないのか。何でもいいので教えてください、と頼み込む。
「私たちを引き離さないでください」「どうか手を貸してください」
一緒にいる。ただそれだけのことが、どうして「ダメ」なのか。10日ほどの間に、ぽつぽつと返事が届き始める。想像はしていたが、全て撃沈。1%の望みにかけてここまで2ヶ月、ひたすら可能性を探ってきたけれど、
「フランスで書類を入手するのは、事実上不可能」
となった。「フランスのことは忘れよう」。だからって、他にアイデアがあるわけでもないけれど。よろよろとデスクに積み上げられた山積みの資料、コピー、2冊のノートを片付け始める。
「やれることは全てやった。そして、ダメだった」
幸運の女神は、微笑まなかった。人生には、どれだけ努力してもダメな時がある。少なくとも、これでスペイン語とフランス語を翻訳しまくる毎日からは解放されるのだ。いいところを見よう。
「ぷぷっ」「お腹すいたね〜」
ふらふらとキッチンへ。もちろんココもついてくる。一緒に料理をし、部屋に戻ってデスクでのんびりランチ。うれしそうに私を見つめ「これからはずっと一緒」だと信じて疑わないココを見ていると
「ぐぬぅうぅう〜」
と、再び力が湧き上がってくる。フランスの門を叩きまくったが、開かれなかった。ってことは、そこに「扉」がないからだ。つまり、
「扉は、他の場所にある」
頭を柔らかく。落ち込む代わりに、発想の転換だ。問題は「鳥インフルエンザの発生しているスペインから、日本にオウムを送れないこと」。なのだから、フランス以外の可能性に方向転換。
「日本入国が可能な国(地域)を教えてください」
厚生労働省機関(検疫所)に確認を取る。ベルギーとハンガリーは可能だったはずなのに、この2ヶ月の間に次々と禁止地区が広がり、頼みの綱であった
「ベルギーの国際空港を含む州」
が、禁止地区になっていた。ショック。空港がなければ移動ができない。日本の検疫所より「現在ヨーロッパでは、次々と鳥インフルエンザ発生地区が増加」しており、それに伴い
「日本入国を許可できる国、地域が毎週、毎月、変わる」
と、変動制であることを教えてもらう。つまり、苦労して手続きをして、やっと必要書類が取得できても、飛行機に乗る当日、厚生労働省から
「禁止地区と発表されたら、終わり」
なのだ。それを前もって知る方法はない。これだけやって全てが水の泡になるって、すごすぎん?そういえば、パリの動物病院のドクターが
「フランスも鳥インフルエンザの発生地になるのは時間の問題。急いで!」
と教えてくれた。もしかしたら「フランスで手続きをしても先はない」「始めるな」「ここに来るな」というメッセージだったのかも。にしても、
「フランスもダメ、ベルギーもダメ、ハンガリーもダメ」
いったいどうしたら。ふらふらとベッドに倒れ込み、それでも厚生労働省(検疫所)のホームページをスマホで読み込んでいると、
「あれっ?」
あることに気づく。もしかして。これが、突破口になるかも。幸運の女神は、東(フランス)ではなく西にいるのかも。スマホを手に、再びベッドから立ち上がる。
「何度でも立ち上がる」
それが、今の私に課せられた100本ノック。はたして。幸運の女神は私たちに微笑んでくれるのか。(明日につづく)