今日はいよいよ、べラ念願の
「伊賀・忍者を訪ねる」旅。
名古屋から直行バスで
伊賀上野へと向かう。
今回の旅の目的は
1、本物の忍者に会う
2、本物の忍者ショーを見る
3、本物の手裏剣を投げる
「アウテンティコ(本物)」である
ことが、ポイントらしい。
今回の一泊旅行に
おつきあいいただくのが
伊藤さん&中岡さん。
差し入れのサンドイッチを
いただきおしゃべりしていたら
あっというまに1時間半。
車窓の景色がどんどん
山深くなっていく。
さすが、忍びの里・伊賀。
昔はきっと「陸の孤島」で
冬は雪に閉ざされ、外界から
守られていたのだろう。
伊賀・忍者の里に到着。
上野城の遠景を眺めながら
「忍者屋敷」へと歩いていると
制服姿の女の子たちに
呼び止められる。
学校新聞の取材らしい。
「どうして伊賀に来たんですか」
もちろん相手はべラである。
「自分は、忍者の生まれ変わり
だと思うからです!
それを、確かめに来ました」
「きゃぁーっ」
女の子たちは大騒ぎ。
付き添いの先生だけが後ろで
「くくくっ・・・」
と、笑いを押し殺していた。
忍者屋敷はすばらしかった。
家のいたるところに「からくり」
があり、忍者姿のお兄さんが
実演して見せてくれる。
こんなサービスはスペインには
ない。からくり古城であっても
中世の騎士が、その格好をして
説明はしてくれない。
ニッポンならでは!
さすがニッポン。さすが伊賀。
忍者屋敷の見学が終わると
いよいよ「忍者ショー」。
家族連れも多く、あくまで観光
の一部として見に来る日本人
とちがい、べラは真剣。
「ショーに使われる武器は
本物なんだろうね」
といちいち、横でうるさい。
さて、ショーが始まる。
日本刀、カマ、手裏剣・・・など
武器はどれも本物であった。
「本物武器での実演」は
安全上の規定が厳しく
いろいろと苦労があるらしい。
楽しくショーは進行していくが
武器が本物だけに
一瞬一瞬、息をつめるような
緊迫感があってすばらしい。
お次は「手裏剣投げ体験」。
たった今、ショーでバシバシ
投げるのを見たばかりだから
気分はすっかり忍者。
手にすると、かなり重く
先がとがれ、ひんやりした感触。
「手裏剣は絶対絶命のときの
忍者『必殺の技』ですっ!」
と鋭い目で、さっき忍者さまが
おっしゃっていた。
実際投げてみると、板に打ち
込むのはかなり難しく
何事も特訓!であると実感。
お次は「忍者資料館」。
忍者グッズ&武器がずらりと
並んで壮観~。
使用方法なども詳しく説明
されており、実に興味深い。
資料館を出ると、さきほど
ショーを演じてくれた忍者さん
に出会った。
「本物が見たくてここまで
来ました。ありがとう!」
べラが深く頭を下げると
「外国人のお客さんはね、
絶対本物の武器を使わないと
だめなんだよね」
「そうなんですか?」
「目がこえてるよ、武器が
ニセモノだと出ていっちゃう」
「もう一人の若い忍者さんも
すごかったですねー」
「僕の息子だよ」
「ええっ、親子で忍者ですか」
これを聞くとべラは深く感動し
「がんばってください! ここまで来てよかった・・・」
と、お父さん忍者と固く握手を交わした。
上野城は、深い堀に囲まれ、さらに周りをぐるりと山に囲まれた城である。
伊賀上野へバスで入ってくるときに感じる「山深さ」を
城の天守閣、内側から見ると
この伊賀の山々こそ、この町を守ってきた自然の城砦であると、実感する。
当時の交通の便の悪さ、内陸独特の冬の寒さは、雪でこの町を隔離し
この山間の小さな町、「忍者の里」を、守り続けてきたのだろう。
わたしは、ニッポンにこんな場所があることを知らなかった。
それも愛知県のお隣の三重県に。
「ニッポンは、なんて懐の深い国なんだろう!」
と、思う。新しくて、古い国。
こんなすばらしい国に、わたしは住んでいたんだな、と思う。
ニッポン再発見。
かつて忍者が暮らした町。「忍びの里」、伊賀上野。
わたしたちは感動でいっぱいだったが
一気に6キロも歩いたので、べラはホテルにたどり着いたとたん
「すみませんが、1時間、シエスタします・・・」
と言うなり、ベッドの上にくずれ落ちていった。
(「ニッポン再発見記・15」につづく)
伊賀忍者とついに記念撮影
を果たしたベラ。
大満足~。
息子さんは忍者として
スペイン公演を果たした
らしい。すばらしい。
紅葉に彩られた
11月の伊賀上野城。
わたしたちが天守閣に
のぼる間、ベラは一人
下に残り、おやつタイム。
お城の近くにそびえる
大樹を見つけるや
うれしそうに近寄って行く。
「ありがとう、ありがとうー」
「ニッポンはあちこちに
大きな樹があって、いいなぁ」
確かにマラガは、樹って
言ったらヤシかオリーブか
ユーカリくらいだもんね。
お城より、大樹がうれしい
ベラだった。