マドリッドにある「市民病院」を
「私立化」する計画が持ち上がった。
1つでなはない。一気に6つ。
この計画に反対したのは、マドリッド市民だけでなく
市民病院で働く医師、看護婦、医療スタッフたちであった。
彼らは仕事着である「白衣」を着て、私立化反対デモをくりかえした。
デモは何十回にも渡って行われたので
この活動は「マレア・ブランカ(白い波)」と呼ばれるようになった。
現在、スペインの医療現場では、信じられないようなことが起こっている。
まず、医師に対する強制退職。
看護婦の大幅削減。
医療スタッフの解雇。
これが、何の説明もなく行われ、多くの医師や看護婦が職を探して
他の国に行かなくてはならない。
これすべて政府の、取り急ぎの集金手段。
医療予算の大幅削減のしわ寄せは
スペインの医療現場のすべてで、目に見える形で噴き出している。
先日、テレビで報道された光景に、スペイン国民は言葉を失った。
救急患者が、病院の廊下で「18時間」ほったらかしにされている。
病院の備品として必要な、たとえば大人用のおむつなどが、まるでない。
こんな環境で、どうやって患者を看られるのか。
この状態でなぜ、病院を「公」から「私」にするのか。
白衣のデモは、続いた。
そして、この1月。
マドリッドの6つの病院の私立化の「中止」が、決定された。
白衣の勝利、である。
医師たちは、カメラに向かって
「闘いは始まったばかり。今後も医療予算の削減反対を続けていく」
と、力強く語った。