ここ数日のどが痛く、夜には
せきが止まらなくなるベラは
「とみ子さん、熱湯を用意して
ください。お願いします!」
何をするのかと、両親が
見守る中、熱湯の入った
ボールの上に顔を近づけ、
頭からふきんをかぶる。
ベラお得意の「蒸気療法」。
「ぷはーっ、あつあつ」
と顔を出しながら、蒸気療法を
くりかえすこと数十回。
「ベラちゃん、薬飲んだら?」
「だめですっ」自然療法教に入っているベラに
とって、薬は最終手段。
「だいじょうぶ?」
と聞かれ、顔を上げたベラに
「あらら、牛和丸みたいだねぇ」
「ほんとだー」
「うし・・・?なんですか?」
牛若丸が橋の上にいる図は
浮かんだのだが
どういう話だったか本当に
忘れてしまったので、
「くくく・・・」
と笑って、逃げておいた。
(「ニッポン再発見記・27」に続く)