自転車でお散歩から帰ってきたベラが、息もつかずに
「もも!ゴミ捨て場にいい板があったよ」
「ほんと?すぐ行かないと、なくなっちゃうよね」
不況のスペインでは、きれいな家具や板は
わずか10~30分で、見事に姿を消してしまう。
昼食をテーブルに並べているところだったが
「食事は後でも食べれるけど、板は今だけ!」
と、ベラの口にポテトサラダを無理やりつっこんで、ゴミ捨て場へ。
「ああー僕、ご飯が食べたい・・・」
「10分のがまんでしょ」
「どうして言っちゃったんだろう、板があるって」
ベラはぶつぶつ言っていたが、ゴミ捨て場にたたずむ板を指差すと
「ほーら!ねっ」
と得意げに胸をはる。なんと2メートルはある。傷ひとつない。
「すごいっ、これ、テーブルじゃん!脚はないけど」
「絶対、ももが気に入ると思ったー」
私たちは、長さ2メートル、幅1メートルのテーブル板を抱えて
マンションへと運び込む。途中、お隣さん御一行に会い
「あら、いい板ねぇ。またリフォームするの?」
「傷もないから、塗らなくてもこのまま使えそうね」
私たちの「リフォーム暮らし」は、マンション中に知れ渡っているので
もう驚く人はいない。それどころか
「いい板が、裏のゴミ捨て場にあったわよ」
と教えてくださる。さすがにベラは部屋にたどり着くなり
「僕ひとりじゃ、恥ずかしくて拾えないよ、こんなまっ昼間から」
それでも、自分が発見した板を、うれしそうに水拭きしている。
「ももって、恥ずかしい、って思う機能がついてないのかな」
マテ茶を飲みながら、お掃除に精を出す。
「サムライの覚悟と、ラテン人の何でもOK!が、混ざった結果か・・・」
自分の発見にひとり、うなづいていた。
べラ、水拭きの図。
きれいにした後は
マテ茶で一服。
おつかれさまー。
これからもすばらしい
「発見」を期待しています。
グラシアス!