数年ぶりに、友人のケーコさんがマラガに遊びにきてくれた。
以前、マラガに1年ほど住んでいたことのある彼女の、今回のマラガ訪問目的は
ずばり「食べること」であった。
先に送られてきた手紙にそうはっきり書かれていたので
わたしも密かに心の準備をし、湯気をたてる料理の皿なんかを思い描いていた。
ところが、わたしの心の準備など、ケーコさんの『胃腸の準備』にくらべたら甘いものであった。
なんとケーコさんは、スペイン入りする2週間前から、アルコールと外食を完全カット。
絶食までして、胃腸をぴかぴかにみがいてきたというのだ。
「すごい・・・」
わたしは改めて、ケーコさんに尊敬の思いを抱いた。ケーコさんの、この食にかける情熱、気合い。さすがマラガに1年いただけある。この徹底したガナ(やる気)は、
昨日や今日で、できるようになるもんじゃないのだ。
手紙にはきちんと、食べたいもののリストまで書かれていたので、わたしは何としても
この『黄金のリスト』を実現しようと、ひとり心に誓った。
さて、ケーコさんと久しぶりに再会。
「わぁ、元気だったぁ~?」
そのあとは、いきなり『食べる話』である。なにしろ5日しかないので、
一食たりとも無駄にはできないのだ。
まずは、おなじみの居酒屋メニュー、バルのタパス(小皿のおつまみ)からスタート。
どれも一皿1~2.5ユーロで、イワシの酢づけ、肉だんご、臓物の煮込み、
タラとじゃが芋とオレンジのマラガ風サラダ、チョリソー(スペイン式・極太・荒挽きウインナー)
など、いろんな料理が味わえる。一軒に長居せず、バルを次々とはしごするのがスペイン流。
翌日はマラガの高台にあるパラドール(古城や修道院を改装したホテル)のレストランで豪華ディナー。マラガ港の夜景が一望でき、それはロマンティックなのだ。
仕事では何度か行っていたが、それまでお客さんとして食べに行ったことはなかった。
ケーコさんのお心遣いで、わたしたちはこのディナーをご馳走になることになり
朝からそわそわ、一日中落ち着かなかったのだ。
「バモノス!(さぁ、出発)」
さて、いわくのディナーはまず、食前酒のアンダルシア産の辛口シェリー酒から始まった。
ワインリストからやみくもに選んだ赤ワインは、すばらしい味わいで、
ベラなど椅子に固まっている。
前菜、第一の皿、第二の皿(メイン)、デザートまで、もう至福の3時間。
ただひとつ困ったのが、ワインを注いでくれるペースが、非常に遅いのだ。
というか、わたしたちの飲むのが早いんだけど、だんだんボーイが待てなくなり
「えいやっ」
とボトルをつかんだ瞬間、さすがのケーコさんも、
「パラドールで手酌じゃなんだから、お互いに注ぎあおう」
さて翌日、ピクニックへ行くため用意をしていると、ベラの様子が何だかおかしい。
眉間にしわを寄せ、体中を掻きむしっているではないか。
「昨夜から、かゆくてたまらない。こんなこと今まで一度だってなかった。
これはきっと、あんないいワインと料理を食べたせいにちがいない。
それでアレルギーが出たんだ!」
って、真顔で。あのねぇ。
「もう僕、高級なものは食べないよ。ももの作る野菜炒めがいい!」
って、なんて貧乏くさいことを言うんだ。今日の計画は
『これでもか!っていう上級のワインや生ハム、手作りパテ、ヤギや青カビのチーズを
買って、焼きたてバゲットといっしょにピクニックをする』ことなのだ。
何が、野菜炒めだ。
「これはアレルギーじゃなくて虫刺されだよ。ほら、ここにあとがあるでしょう。
だから食事とは関係ないよ」
結局、本当に虫刺されだったのでピクニックは決行されたが、道中もまだ
『菜食主義だった男が10年ぶりに肉を食べ、血を吐いて死んだ話』
などをして、おびえているのだった。
さて、翌日はチリンギートへ。マラガの海岸通りに何十軒と並ぶ魚介類レストランのことで、テラス席をゆったり陣取り、
「サルー!(乾杯)」
これぞマラガの庶民の味。いいワインなんてもともと置いていないので
ティント・デ・ベラノ(赤ワインのソーダ割り)を頼むのが、マラガ流。
最終日は、地元で人気のレストランへ。
締めはもちろんパエジャ、オーレ!
バルセロナ経由で日本へ帰るケーコさんの、最後の望みは
『名物・サルスエラで旅をしめくくること』であったが、どーなったのだろう。
パトロンのケーコさんが去り、わたしたちは再び粗食に逆戻り。
ときどき、あの食にかけた熱い日々を、ひとり懐かしく思い出しているのである。
グー(おなかの音)
私も1月にマラガ行って、市場の近くのチュロス屋、カフェマドリッドのチュロス、ログエノのタパス、狭い通りのガンバスアラプランチャ屋、カサミラのアイス、後ろに樽の並んだ立ち飲み屋で立ち飲みして
腹ごなしにMANGO,ZARAでバーゲンあさりして過ごしました(笑)
こ、これは・・・!
『マラガ・セントロ(中心街)』で行くべきところを
全てつめこんだ、究極の『マラ・セン黄金コース』ですね。
これだけ回ろうとすると、かなりの意志が必要です。
さらに、バリエーションがいい。
つけ加えることは、もう何もありません。
今は、静かにTomilloさんのたどりついた『境地』を
わたしも、堪能したいと思います。ああ~、グラシアス
速報!
『ユーロ杯』でスペインが優勝しました!オ~レ!
朝から、マラガの窓という窓に『国旗』が、はためいてました。
やる気、まんまん。
わたしはホテルで演奏中だったので、試合は見れなかったけど、
カマレロ(ボーイ)たちが
「今、1-0!勝ってるよ~」
と、弾いてる横で、実況中継してくれました。
ただ、うるさいのよねぇ~。恒例の『歓喜の車のクラクション』。
夜1時すぎまで、「パ、パパ、パッパ、ウン、パッパ♪」
って、ま、いちおう、メロディにはなってるんだけど。
スペインが優勝したニュースは日本でも大きくとりあげられてましたよ。さぞかし賑やかだったことでしょうね~。
natu 懐かしいなぁ この頃が(笑)今の飲食活動励んでるけどそこに+LIVE(お客側)歌舞伎に文楽、映画、お芝居、アート鑑賞と相変わらず動き続けてマス♪